芸術の世界で出会った恋人たち
グスタフ・クリムト
──エミーリエ・フレーゲ
皆様、あと一瞬ののちに死ぬとしたら逢いたいのは誰でしょうか?
「接吻」で有名なクリムトが死の間際「エミーリエを呼んでくれ」と言ったのは美術史に残るロマンスです。
ウィーンの世紀末に花開いた芸術と恋の物語。クリムトとエミーリエの関係を紐解きます。
グスタフ・クリムト とはどんな人物か
グスタフ・クリムトは、オーストリアの画家で、19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍しました。
ウィーン分離派の創始者の一人として、モダンデザインの発展に貢献しました。
彼の作品は、金箔や色彩を駆使した装飾的で官能的なものが多く、女性の裸体や神話的なテーマを好んで描きました。
その独自の画風は世界中で高く評価されています。
エミーリエ・フレーゲとはどんな人物か
エミーリエはオーストリアで生まれ、姉のヘレーネと共にウィーンにファッション・サロン「シュヴェスタン・フレーゲ」とオープンさせ、
成功した実業家でした。
オーダーメイドのゆったりしたリフォームスタイルは、女性をコルセットからの解放へ導きます。
クリムトとの出会い
クリムト との出会いは姉であり共同経営者のへレーネがクリムトの弟エルンストと結婚したことによります。
エルンストもまた、グスタフ・クリムトと共同で組合を設立するビジネスパートナーでもあったが心筋炎により若くして亡くなってしまいます。
グスタフ・クリムトは亡弟の妻へレーネと娘へレーネの後見人として度々フレーゲ家を訪れるようになり、妹のエミーリエと交流を持つようになります。
自立した女性エミーリエ
クリムト はモテ男で彼の家にはウィンクしただけでポーズを取ってくれる女性たちがいたといいます。
そんなクリムトの最愛の恋人エミーリエは男性社会でも自ら企業する自立した女性でした。
当時、女性が男性の庇護のもとで生きるのが当たり前の時代ではエミーリエは異色ながら魅力あふれる人だったに違いありません。
芸術家のクリムトとファッションデザイナーであったエミーリエは恋人でありビジネスパートナーであり、お互い装飾品を手がけるライバルでもあったのかもしれません。
まとめ
エミーリエとクリムトは、ウィーンの世紀末に芸術と恋の両方で輝いた二人の人物です。
彼らは結婚することはありませんでしたが、生涯の伴侶として互いに尊敬し、影響し合いました。
クリムトはエミーリエを多くの作品に描き、彼女のファッションサロンにも協力しました。
クリムトの死の間際に呼んだのはエミーリエでしたが、彼女はクリムトとの手紙をほとんど処分し、生涯独身を貫きました。
二人の関係は、美術史に残るロマンティックな物語として語り継がれています。彼らの作品や生涯を通して、ウィーンの世紀末の芸術と文化を感じてみてはどうでしょうか。