「ウィトルウィウス的人体図」ってなんなの?
見たこと聞いたことあるけどよく知らないあれを解説します。
ウィトルウィウス的人体図とは、レオナルド・ダ・ヴィンチが描いたドローイングが有名です。
両手両足を広げて、円形にはまった男性と、両手を上にあげて、正方形にはまった男性が重ねられています。
この絵は、人間のからだの大きさや形が、とてもきれいに決まっていることを示しています。
この絵のもとになったのは、ウィトルウィウスという古代の建築家の本です。
この本には、神殿や建物を作るときには、人間のからだと同じように、バランスが大切だと書いてあります。
人間のからだは、へそを中心にして、丸や四角形にはまることができます。
円形は天や聖なるものを、四角形は地や俗なるものを表しています。
レオナルドは、この本を読んで、自分で人間のからだを測り、人間のからだの各部分の長さや大きさが、どういう割合になっているかを書き出しました。
例えば、顔の長さは、顎から鼻まで、鼻から眉まで、眉から髪の生え際までが、それぞれ顔の長さの三分の一になっています。
レオナルドは、ウィトルウィウスの本に忠実に絵を描こうとしましたが、解剖学の知識があった彼は少しだけ変えています。
円形はへそを中心にしていますが、四角形はへそではなく、股間を中心にしています。
これは、レオナルドが人間のからだの重心がへそよりも下にあることを知っていたからです。
ウィトルウィウス的人体図は、知識人であったレオナルドのすごさがよくわかる絵です。
レオナルドは、絵を描くだけでなく、科学や数学にも興味がありました。
人間のからだや自然の法則を、正確に調べて、表現しようとしました。
この絵は、人間と自然とのつながりや調和を、見事に描いています。
レオナルド以外にもウィトルウィウス的人体図を描いた画家は多くいます。
見比べてみるのも面白いかもしれませんね。